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【留学見送り旅行記】スプラッシュ・マウンテンの原点を訪ねてシックス・フラッグス・オーバー・ジョージアへ

スプラッシュ・マウンテンの「原点」:シックス・フラッグス・オーバー・ジョージア

アトランタへに辿り着いた翌日、私たちが向かったのは、娘が「どうしてもここだけは外せない」と熱望していた場所。
アトランタ中心部から車で西へ20〜30分ほど、ジョージア州マブルトン(Mableton)に位置する絶叫マシンの聖地として知られる遊園地、Six Flags Over Georgia(シックス・フラッグス・オーバー・ジョージア)だ(住所:275 Riverside Pkwy, Austell, GA 30168)。

ここを訪れることは、娘にとって単なる観光ではなかった。
長年の探求の出発点となった場所を、留学が始まる前に自分の目で確かめておく——それは、彼女が自分自身にとって必要なことだと感じていた、一種の「けじめ」のような訪問なのだと思う。

シックス・フラッグス・オーバー・ジョージア

シックス・フラッグス・オーバー・ジョージアにて

宿泊していた Holiday Inn & Suites Atlanta Airport-North からは、ライドシェアサービスの Uber(ウーバー)を利用した。
今やアメリカ(他国でも)の旅において、Uberや Lyft(リフト)は欠かせないインフラだ。特にUberは、日本で利用しているアプリがそのまま世界中で使えるのが最大の強み。
行き先を指定すれば乗車前に料金が確定する。チップの計算もアプリ上で完結し、英語での道案内も不要だ。
この日の料金は行きも帰りも20ドル前後。かつての海外旅行でタクシー交渉に苦労した時代を思うと、まさに隔世の感がある。

娘をジョージア大学へと導いた一本の糸——『南部の唄』とスプラッシュ・マウンテン

娘がこのパークに執着したのには、ある明確な理由があった。それは、彼女が大好きなディズニー・パークのアトラクション「スプラッシュ・マウンテン」のルーツに触れることだ。

ご存知の方も多いと思うが、スプラッシュ・マウンテンの背景には、1946年のディズニー映画『南部の唄』(Song of the South)がある。
この映画は、ジョージア州イートントン生まれの作家ジョエル・チャンドラー・ハリス(Joel Chandler Harris)が、黒人奴隷たちの間に伝わるアフリカ系アメリカ人の口承民話を採集・文章化した「リーマスおじさん(Uncle Remus)」シリーズを原作としている。

うさぎどん(ブレア・ラビット/Br’er Rabbit)が知恵を絞って、きつねどん(ブレア・フォックス/Br’er Fox)やくまどん(ブレア・ベア/Br’er Bear)の追撃をかわす物語。
その舞台こそが、まさにこのジョージア州を中心としたアメリカ南部なのだ。

実は、かつてこのシックス・フラッグスには、1967年から1980年まで Tales of the Okefenokee(テイルズ・オブ・ザ・オケフェノキー) ——正式名称「Tales of the Okefenokee: The Old Plantation Legends」——というアトラクションが存在していた。
1968年のリニューアル以降は人形師として著名なシド&マーティ・クロフト(Sid & Marty Krofft)兄弟がデザインを手がけた大型アニマトロニクスが特徴のボートライドで、ジョージア州に実在する広大な湿地帯、オケフェノキー湿原(Okefenokee Swamp)を舞台に、「南部の唄」に登場する動物たちの世界を表現した。

スプラッシュ・マウンテンの生みの親である伝説的なイマジニア、トニー・バクスター(Tony Baxter)は、1947年生まれ。このライドが運営されていた時代(1967〜1980年)に子供・若者として何度も乗り親しんでおり、後のQ&Aの場でスプラッシュ・マウンテン(1989年開業)の着想源のひとつとなったことを自ら語っている。
つまり、ここはスプラッシュ・マウンテンの「原点」と呼べる場所なのだ。

現在、アメリカ国内のディズニー・パーク(アナハイムとオーランド)のスプラッシュ・マウンテンは、映画『プリンセスと魔法のキス』をテーマにした Tiana’s Bayou Adventure(ティアナのバイユー・アドベンチャー)へとリニューアルされた(マジック・キングダム版は2023年1月閉鎖・2024年6月開業、ディズニーランド版は2023年5月閉鎖・2024年11月開業)。
オリジナルの姿を残すのは、2026年3月現在、世界中で東京ディズニーランドのスプラッシュ・マウンテン**のみとなっている(東京版を運営するオリエンタルランドはリニューアルの計画はないと表明しているが、今後の動向については注視が必要だ)。

娘はスプラッシュ・マウンテンを入り口に、背景にある南部文化や歴史を深く調べるようになった。
その探求心が「アメリカ南部を実際に見てみたい」という思いに繋がり、彼女を南部の名門 、UGA(University of Georgia/ジョージア大学)への留学へと突き動かした。
彼女が選んだ進学先も、ジョージア大学への派遣枠を持つ東京外国語大学や早稲田、上智、明治、横国といった限られた選択肢の中から、その熱意で勝ち取ったものだ。

彼女をこの地へと導いた「原点の、そのまた原点」。それを確かめることが、今回の旅の大きな目的のひとつだった。

シックス・フラッグス・オーバー・ジョージア

娘にとってシックス・フラッグス・オーバー・ジョージアはアトランタに来て行かずには帰れない場所

107体のアニマトロニクスが住む「Monster Mansion」——かつての面影を探して

かつての「Tales of the Okefenokee」は、その後リニューアルを経て、現在は Monster Mansion(モンスター・マンション) という名前で運営されている。この建物の歴史を整理すると次のとおりだ。

  • Tales of the Okefenokee(1967〜1980年): シド&マーティ・クロフト兄弟がデザインした大型アニマトロニクスで、南部の湿地帯の動物たちの物語を巡るボート式ダークライド。「南部の唄」のキャラクターたちが登場した。1980年、アニマトロニクスの老朽化と機器の失火により閉鎖。
  • Monster Plantation(1981〜2008年): 元ディズニー・イマジニアのゲイリー・ゴダード(Gary Goddard)率いるチームが手がけた、水没した南部のプランテーション邸宅にモンスターたちが住みつきピクニックを開いているという設定のライド。「Marsh(湿地帯)」と呼ばれる危険なゾーンへ迷い込む展開が名物だった。
  • Monster Mansion(2009年〜現在): 2008年にゴダードが再び改修を担当。107体以上のアニマトロニクスはキャラクターデザイナーのフィル・メンデス(Phil Mendez)がオリジナルから刷新し、13種類の4Dインタラクティブ効果を搭載。ディズニーパーク以外では世界最大規模のアニマトロニクス系ファミリー・ダークライドとされている(全長700フィート=約213メートル、9つのシーン構成、6人乗りボート)。

外観こそ様変わりしているが、水の上をボートでゆっくりと進むスタイルや、アメリカ南部の湿地帯を彷彿とさせる植生、そして「不思議な場所へ迷い込む」という構成は、かつての面影を今に伝えていた。
スプラッシュ・マウンテンの「笑いの国」と「いばらのくま」のコントラストに通じるものを感じながらボートに揺られた。

入園前に知っておきたい——チケット・パスの種類と選び方

ここ「シックス・フラッグス」は、ディズニーのような魔法の世界というよりは、富士急ハイランドを彷彿とさせるような、剥き出しの鉄骨とG(重力加速度)が支配する絶叫マシンの宝庫だ。
効率よく回るためには、事前にシステムを理解しておく必要がある。

チケットの種類

チケットは当日窓口でも購入できるが、公式サイトからのオンライン購入が基本。時期によって価格が変動する「ダイナミック・プライシング」を採用しているため、早めの購入ほど安くなる傾向がある。

  • One-Day Ticket: 通常の1日入園券。
  • Season Pass: 年間パス。同シーズンに2回以上来園する予定があれば、1日券より割安になる場合が多い。

待ち時間を減らす「THE FLASH Pass」
このパークでは、待ち時間を短縮する予約システム THE FLASH Pass(ザ・フラッシュ・パス) が用意されている。入園料とは別料金で、当日または事前購入が可能。

  1. Standard: 次の予約まで、現在の待ち時間と同じだけ待つ必要があるが、実際の行列に並ばなくてよい。
  2. Gold: 待ち時間を50%短縮。
  3. Platinum: 待ち時間を90%短縮。

今回は THE FLASH Pass Standard を事前に購入した。
夏休みシーズンで混雑を警戒したが、当日はそこまで混雑してはいなかったため、時間短縮効果は1時間程度だったかもしれない。
ただし、このパスにはライド乗車中のショート動画特典が付いてくるため、記念として手元に残せるのは嬉しいポイントだ。

パークのメインはの絶叫系のジェットコースター系のライド

モンスター・マンションだけに乗って帰るわけには行かないので、パークが誇るスリリングなライドにも幾つか体験した。

  • Goliath(ゴライアス) パークのアイコン的存在。高さ約61メートル(200フィート)、最大落差約53メートル(175フィート)、最高速度は時速約113km(70mph)を誇るハイパーコースター(メーカー:Bolliger & Mabillard/B&M、1998年開業)。座席が床なしのオープン構造で、浮遊感=エアタイムが凄まじい。
  • SUPERMAN™: Ultimate Flight 珍しい「フライング・コースター」(メーカー:B&M、2003年開業)。搭乗後に座席がうつ伏せ状態に傾き、スーパーマンのように空を飛ぶ感覚を味わえる。
  • BATMAN™ The Ride 足がぶらさがった吊り下げ式(インバーテッド)コースター(メーカー:B&M、1997年開業)。激しい回転とひねりが連続する、ダイナミックな動きが特徴。
  • Twisted Cyclone(ツイスター・サイクロン) 元の木製コースター「ジョージア・サイクロン(Georgia Cyclone)」(1990年開業・2017年閉鎖)の木製支柱を活かしつつ、RMC(Rocky Mountain Construction)製の鋼鉄I-Boxトラックへ換装したスチール・ハイブリッド・コースター(2018年開業)。高さ約30メートル、最大傾斜75度の急降下に加え、3つのインバージョン(宙返り)と10回のエアタイムを体験できる。
  • Thunder River(サンダー・リバー) 円形のボートで激流を下るラフティング・ライド。アメリカのこの手のライドは、日本の比ではないほど容赦なく濡れる。着替えか雨具の準備を強く推奨する。
  • Log Jamboree(ログ・ジャンボリー) 伝統的な丸太流し(ログフリュームライド)。シンプルだが、歴史を感じさせる安定の楽しさだ。
ツイスターサイクロン

ツイスターサイクロンに乗った記念写真。いくつかのライド乗車中の写真とショート動画もザ・フラッシュ・パスのサービス

昨夜のドギーバッグが本日の夕食

お昼前から夕刻までパークを歩き回り、再びUberを呼んでホテルへと戻った。
夕食は、前日の夜に訪れたホテルの目の前のレストラン、 Louisiana Bistreaux Seafood Kitchen East Point から持ち帰った「ドギーバッグ」だ。
アメリカでは食べきれなかった料理を持ち帰るための容器(現在は to-go box と呼ぶのが一般的)を頼むのは当たり前の文化。

幸いなことに、ホテルの部屋には電子レンジが備え付けられていた。
冷蔵庫に入れておいたジャンバラヤなどの料理を温め直し、部屋でゆっくりと味わう。
一日遊び疲れた体に程よい夕食となった。

ドギーバッグで夕食

ホテルの部屋で昨晩のお持ち帰りを食べる

いよいよ明日は、アトランタを離れ、大学のある街「アセンズ」へと移動する。娘に同行できる時間は、残り2日だ。

次回の記事では、ジョージア大学のある街、アセンズでの様子を詳しくレポートしたいと思う。