海外旅行で差別を受けることはあるか


海外旅行中に人種差別と思われる体験をすることはそれほどないのではないだろうか。
どこの国でも(よほど特異な国で無い限り)人種や国籍で差別的な行為や発言をすることは非常識であり、道徳的にも法律的にも許されないという考えが一般的だ。
なので、多くの人達は人種差別主義者を不道徳な人達と考えているので、あからさまな差別に遭遇することは滅多に無い。
しかし、差別的な思想を持っている人は皆無では無いし、本人に差別という意識が無くても、「○○人は好きでは無い」とか外国人や異なる人種に対して偏見を持っている人は存在する。

何度となく海外に出掛けていれば1回や2回は「これは差別では」と思える経験がある人もいるだろう。私も何度か経験がある。
覚えている限りではロンドンで1回、パリで1回、アメリカで2回ほど経験がある。
ロンドンでは英語がうまく通じなかった時に、店員にあからさまに見下したゼスチャーをされたことがあった。
パリでは通りがかりの酔っ払いにジャップに類する差別的な言葉を浴びせられたことがある。
アメリカではホテルのロビーで隣にいた黒人に「日本人か?」と聞かれ、そうだと答えたら、「俺は日本人が嫌いだ」とストレートに言われたことがある。「なぜそんなことを言うのか?」と聞いても返事をせずにそのまま行ってしまった…。
更にレストランで、どう考えても故意に最も条件の悪い席に案内された経験が一度。

渡航した回数を考えれば多くはないが、そういう経験があることは確かだ。

通りがかりに遭う差別的な行為や発言は、犬の糞を踏んでしまうようなもので仕方がないが、お客であるにも関わらず、店などから受けてしまう差別行為には抗議をするべきだと思う。
そのような店と分かったら、利用を中止して即刻出てしまうというのも抗議の方法だ。
我慢してまで利用して、料金まで払う必要は無い。

難しい問題もある。例えばよくあるのはチップの問題だ。
日本人(もしくはアジア系)にのみチップ込みのレシートを持ってくるという店がある。人種に関係なく最初からサービス料がインクルードされている店なら問題ないが、日本人にはチップ込み、それ以外はチップ別という請求の仕方をするのは差別と言えると思う。
しかし、面倒なチップを考えずに済むのは有難いと感じてしまう日本人旅行者もいるかもしれないし、店側からすれば日本人がチップを忘れるという経験から来ている防衛策かもしれない。
ただ、大凡の額は決まっているとは言え、お客の裁量に任せられている、つまり額の決定はお客の権利であるチップを、人種を理由に店側が決めてしまうという行為はやはり差別だろう。
もし白人相手に多くの白人には普通の請求書、ある白人にだけチップ込みの請求書ということをしたら問題になるのは明かだ。
チップ込みの請求書を有難いと思ってしまう人なら、店側の利害と自分の利害が一致しているということなので、そのまま支払うのもいいだろう。しかしもし不満があるならはっきり言って構わないと思う。「チップの額を変えたいのでチップ別のレシートをくれ」と言うべきだ。
これは何も図々しいことを言ってるわけではないし、当然のことを言っているだけなので何一つ失礼なことではないはずだ。

アジア系に対する差別に限って言うなら、日本人はもっとも差別に遭いにくいかもしれない。
近年、日本人は礼儀正しく道徳的な国民性という認識が広まっているらしく、アジア人を蔑視している人達の中でも日本人とその他のアジア系という分け方をしていることが多い様だ。
韓国人や中国人は嫌いだが、日本人は好きだということを言う人達も多い。
日本人としてはとても有難い話だが、手放しで喜べることでもない。
中国人旅行者や韓国人旅行者に比べて日本人旅行者のマナーの方が総じて良いという様な傾向はあるのだろうが、本来人間への評価は個々にされるべきものだ。
中国人や韓国人の中にも下手な日本人よりマナーの良い人はいるだろう。人種や国籍による大凡の傾向というものがあることは事実だろうが、それを理由に個人を無視して人種や国籍のみで判断するということがそもそも差別なのだ。
現在日本人への評価が高いということを理由にそういう差別を是としてしまうと、いつ政治的な問題や状況の変化で我々日本人への差別意識が高まるか分かったものでは無い。

差別反対


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